ボルダロ・ピニェイロとは、ポルトガルの陶磁器メーカーのことです。創業者は、ポルトガル出身の芸術家ラファエル・ボルダロ・ピニェイロ。ラファエルは父、姉、弟も画家として活動していた芸術一家に生まれ、本人も父から絵の描き方を学び、風刺画やイラストの制作を手掛けていました。
陶磁器の製作を始めたのは、1880年代中頃のこと。ポルトガル西部に位置するカルダス・ダ・ライーニャに、自身の名前を取って「ボルダロ・ピニェイロ」という工房を開きました。カルダス・ダ・ライーニャは、陶磁器の製作に欠かせない粘土が豊富に採れる場所で、古くから製陶が盛んに行われていた場所です。ラファエルの作品は国内外で評判になり、パリやマドリードなどで開催された国際展示会では数々の賞を受賞しました。
ラファエルの作品の特徴は、ポルトガルの人々の生活を原点とした個性的な作風です。ラファエルはルネサンス、アール・ヌーヴォー、スペインのアラブ文化など幅広い芸術に触れていたこと、風刺画やイラストの製作に携わっていた経験などを背景に、独創的な作品を制作しました。
1905年にラファエルが亡くなった後も工房の活動は続き、2024年時点でもポルトガルを代表する陶磁器メーカーとして陶磁器の生産を続けています。陶磁器を製作する工程は、現在も大部分がハンドメイドです。白い磁器に華やかなレリーフをあしらった「ルネッサンス」や、アイボリーとパープルの2色使いがおしゃれな「ヴィエナ」など、さまざまなシリーズが登場しています。