明治34（1901）年12月29日～昭和58（1983）年4月27日

北海道小樽生まれ。

風景画の分野で優れた作品を多く残したことで知られる。

14歳で小樽洋画研究所に学び、1924年に上京し、川端画学校に通う。1925年、二科展に入選し、1936年まで毎年出品。二科展、一水会展、日展を発表の場として、多くの風景画を制作したが、二科展時代の作品は、1945年の空襲により消失してしまった。

自然の中に身をおくことから風景との対峙が始まるとした中村善策は、特に、故郷の小樽の風景は生涯描き続け、疎開した先であった長野県の信州の大自然も多く描いた。

屋外で制作することを愛し、写生の魅力を多くの人に伝えるため、技法書も執筆している。

油絵独特の荒々しくも優しいタッチに、明るく開放感のある画風が特徴的で、人々の暮らしのなかで見られる人間味にあふれた画風は「善策張り」とも言われ、高い評価を得ている。日展文部大臣賞や日本芸術院賞の受賞歴もあり、1978年、勲四等旭日小綬章受章。

没後、遺族より油絵をはじめ関係資料が寄贈され、当時美術館の設置されていた小樽市分庁舎の一階部分が改装され、1988年、中村善策記念ホールとしてオープンした。