明治42（1909）年4月5日～平成12（2000）年12月25日

和歌山県出身の版画家。

「儀兵衛」を名乗るヤマサ醬油の創業家の生まれで、10代目浜口儀兵衛の三男。

梅原龍三郎の助言により、東京美術学校美術学部彫刻科を退学し、渡仏。

第二次世界大戦勃発により、1939年に帰国。戦後、1948年頃から本格的に銅版画の制作に取り組み始める。「マニエル・ノワール（英語訳はメゾチント）」という銅版画の技法を復興させたのは、長谷川潔だが、並んで浜口陽三は、「カラー・メゾチント」技法を発展させたことでも知られ、黒の濃淡を表現する技法であったメゾチント技法に色をもたらした。1953年の再渡仏後、定住。翌年サロン・ドートンヌ会員となる。1957年には第1回東京国際版画ビエンナーレ展で国立近代美術館賞、また、サン・パウロ・ビエンナーレ展で版画最優秀賞を受賞する。

1971～1972年には、ブラジルに滞在。1981年からサンフランシスコに移住。1996年からは日本で過ごした。

黒の中にも豊かな明暗濃淡に富み、柔らかい階調で表現された、静謐な画面が印象的な作品を多く残し、さくらんぼやクルミ、蝶などを主題にすることが多かった。

版画作品は、通常刷り上がった順にシリアル番号を付けるが、浜口は刷り上がりの良い作品の順に番号を付けていた。