エディションナンバーとは、刷られた版画を管理するために割り振られた番号のことです。版画作品は1枚ずつ芸術家の手で描かれる絵画とは異なり、一度に複数枚の絵を作成できます。そのため、何枚中何番目の作品なのかを明確にするため、番号を割り振るようになりました。番号を付ける順番は、刷られた順であるとは限りません。版画は印刷の状態や質が均等であることが求められるため、番号が若いからと言って価値が上がるわけではないことは留意しておきましょう。
エディションナンバー(限定部数)は、「分子/分母」の分数の形式で表すのが一般的です。分母には印刷した部数(限定部数)、分母には何番目の作品か(限定番号)を記すため、例えば「5/250」と記載してある場合、「制作された250部のうち5番の作品」という意味になります。
算用数字で表す作家が多いのですが、ときにはローマ数字を使用する場合も。番号を記すことで、作家本人の作品である証明にしたり、刷り師が余分に作品を刷って販売することを防いだりする効果があります。19世紀末には欧州で浸透し、日本でも1920年代以降の作品から、限定部数を記したものを見ることが可能です。1960年にウィーンで開かれた第3回国際造形芸術会議以降は、版画作品に限定部数を記載することが義務化されました。
ただし、一部ではありますが限定部数の代わりにアルファベットを記したものもあります。「AP」もしくは「EA」と書かれた作品は作家保存分、「HC」は見本用として刷った非売品などそれぞれに意味があるため、鑑賞や鑑定の際は確認しておきましょう。