カポディモンテ磁器

カポディモンテ磁器とは、イタリアのカポディモンテで生産されている磁器製品のことです。1743年に、ナポリの近くにあるカポディモンテという場所に建つ王宮で生産が始まりました。生産開始に携わったのは、当時のナポリ王であるカルロ7世です。現在はリチャード・ジノリにすべての型や権利が移っていると考えられます。

カポディモンテ磁器の工房は一度イタリアに創設されたものの、カルロ7世がスペイン王に即位した際、工房はマドリード郊外に移転させ、今まで生産した磁器もすべてスペインへ持って行ってしまったため、創業からわずか16年後の1759年には閉窯することになりました。この16年間で作られた時期にはブルボン家を示す青いユリの花があしらわれており、「幻の磁器」とも呼ばれています。

閉鎖されてしまったカポディモンテ磁器の工房ですが、1773年にカルロ7世の息子が職人を集め、ナポリにあるポルティチという街で再建します。再建時から1787年の間の製品をカルロ7世の時代と区別するため、紋章には王冠と「FRM」の文字をあしらいました。そしてドメニコ・ヴェントーリが経営に携わった時代に最盛期を迎え、その後は同じナポリにあったジノリ社に吸収されたと推察されています。

カポディモンテ磁器の特徴は、長石・粘土・乳白色の粉を混ぜた粘土を使った軟質磁器を生産しているところ。透明度に優れた白磁で、光に当たるとツヤツヤと輝くのが見どころです。カポディモンテ磁器では白磁に淡い色合いで彩色を施し、上品な雰囲気の製品を多数生産しています。