フルサクス

フルサクスとは、1960年代から1970年代にかけて起こった前衛芸術運動のことです。「フルクサス」という言葉には、ラテン語で「流れる」「変化する」「下剤をかける」などの意味があります。グループとしての信条を掲げることはなく、シンプルで様々な解釈ができる表現や、ユーモアを備えた表現がよく用いられました。

フルサクスは、リトアニア出身のデザイナー兼建築家であるジョージ・マチューナスが提唱して始まりました。芸術ジャンルは美術、音楽、詩、舞踏など多岐にわたり、10カ国ほどのアーティストが参加した多国籍なグループなのが特徴です。日本人の参加者のなかには、オノ・ヨーコや武満徹、一柳慧などがいました。

フルクサスの主な活動内容は、これまでの芸術を否定する反芸術的なものでした。そのためフルクサスの参加者は自身らの活動を「イベント」と呼び、1950年代に起こった「ハプニング」という芸術動向とは区別していました。イベントは1回開催したら二度と行わないものが多く、過去のイベントの展示作品は写真や映像から確認するしかありません。

作品の発表以外にも、新聞の発行や「フルックス・キット」の制作、名簿の作成などを経てフルクサスのグループ化が進みました。1978年に創始者であるジョージ・マチューナスが死去するまでこの動向が続きます。1978年以降はフルクサスに興味を持ったコレクターや研究者が現れており、その需要に応える形で現在も発表や公演が続いています。