リーチ工房とは、イギリスの陶器ブランドのことです。イギリス人のバーナード・リーチと、日本人の濱田庄司によって、1922年に設立しました。バーナード・リーチは幼少期を日本で過ごし、一度イギリス本土へ戻ったものの1909年に再来日。日本の芸術家との交流を深め、茶道や陶芸を学ぶなかで濱田庄司と出会いました。
1922年、バーナード・リーチがイギリスに帰国するのに合わせ、濱田庄司も渡英します。そして同年に、共同でリーチ工房を創設しました。当初は陶器に適した粘土探しや作陶に使用する材料を見つけるのに苦労しましたが、次第に事業も軌道に乗るようになり、装飾を施した食器類などを生産していました。
1923年の関東地震の影響により、家族を心配した濱田庄司は日本に一時帰国しますが、バーナード・リーチはその後も生産を継続。ヨーロッパと東アジアの美を融合させた、新しい作品を生み出しました。また、スリップウェアや塩釉といったイギリスやドイツで生産されていた昔ながらの陶器にも注目。ヨーロッパの伝統的な技法もマスターし、独自性の強い作品を製作しました。
バーナード・リーチと濱田庄司の没後もリーチ工房は活動を続けており、現在もマグカップやプレートなどさまざまな製品を生産しています。日本の焼き物のような素朴な風合いと、欧風のおしゃれなデザインが共存しているのが特徴。工房のビジョンに共感した職人が集まり、今もなお新たな製品を生み出し続けているブランドです。