大倉陶園とは、神奈川県横浜市戸塚区に本社を置く陶磁器メーカーのことです。1919年(大正8)に、大蔵孫兵衛・和親親子が創業しました。「良きが上にも良きものを」をスローガンに、日本の高級洋食器メーカーとして活動しています。2019年(平成31・令和元)には、創業100周年を迎えました。
大倉孫兵衛・和親親子は大倉陶園を創業する前から日本陶器合名会社(現ノリタケカンパニーリミテド)や東洋陶器株式会社(現TOTO)などの運営に携わっており、日本の近代セラミックス産業において大きな成功を収めていました。しかしその成果に満足することはなく、より高品質な西洋陶磁器を製造するため、大蔵登園を創業。以来研究を重ね、「セーブルのブルー、オークラのホワイト」と賞されるほど美しい製品を発表するようになりました。
大倉陶園の陶磁器の特徴は、透き通るような白さ・滑らかな質感・磁器質の硬さです。高温で焼き上げることに適した「カリオン」という鉱物を主原料に、長石や珪石を独自の割合で調合することで、美しい白色を実現しました。焼成温度はフランスのリモージュを参照し、1,460℃の高温で焼き上げることに。研究と改善を繰り返し、1922年(大正11)に最初の製品を発表しました。
大倉陶園が現代まで製作した製品のなかでも、1942年(昭和17)以前に製造したものを「オールド大倉」と呼びます。設立当初はオーダーメイドでの製造を主に行っていたため、広く世間の人に大倉陶園の製品が目に触れることはあまりなかったようです。現在は「ブルーローズ」シリーズを中心に、カップ&ソーサーやマグカップ、プレートなど家庭向けの上質な食器を製造しています。