新古典主義とは、18世紀に起こった古代ギリシア・ローマの美術を規範にした美術です。古典・古代ギリシア・ローマの美術を自分たちの美術の規範にしようという動きのことを新古典主義の美術と言います。
1748年から南イタリアのポンペイ遺跡の発掘が始まりました。するとそこから古代ローマ時代の都市が丸ごと見つかったのです。ヴェスヴィオ火山の噴火によって全滅したポンペイやヘルクラネウムが、当時に近い形で発掘されました。
その出土品から、古代の人々のようすを想像したのでしょう。発掘された遺品を版画の挿絵入りで紹介した図集が相次いで出版されます。そのため、18世紀の人々は古代ローマの美術に感動を覚えました。
中でもヴィンケルマンの書いた「ギリシア芸術模倣論」は当時の芸術家たちに大きな影響を与えています。この中では、芸術は自然の理想化であるべき、そしてその理想化を実現している古代ギリシアの芸術を模倣すべきと記されていたのです。
これ以外にも、新古典主義が現われる理由がありました。それは1789年にフランスで起こった革命です。これにより、これまで力をふるっていた王や貴族たちが市民階級に力を奪われていきました。そしてロココの繊細で華麗な美術は、ぜいたくでだらしないと批判されるようになります。そこで古代ローマのたくましく厳格な文化を手本に美術を立て直そうとしたのが新古典主義の美術なのです。
新古典主義の画家たちは、古代ギリシア・ローマの美術を模範としながら、時代の政治的理想や自分の美の理想を追求していったのでした。そこでは考古学的な正確さや安定した構図が重視されていました。
主要人物・作家
ジョゼフ=マリー・ヴィアン、ダヴィッド、ジロデ、グロ、ドミニック・アングル、カノーヴァ、フラックスマン