書付

書付(かきつけ)とは、作品に関する情報を端的にまとめたもののことです。書付に記載する項目は、作者名・作品名・伝来・署名・押印など。紙に書いて作品に付属させたり、作品を収納する専用の箱に書きつけたりするのが一般的です。書付を記載している箱は、「書付箱」と呼ぶこともあります。

書付の記載を担当するのは、茶道の家元・高僧・大名といった権威がある人物が中心です。特に権威が高い人物が記した書付は、「御書附」といいます。作品の制作者本人が有名な人だったとしても、権威を付けるためにあえて他の有力な人に書付を依頼することもありました。書付からは、作品に関する基本情報だけでなく、作品の制作当時や書付が記された時代の人間関係も伺えるのです。

書付が記される作品は、茶道具が多い傾向にあります。作品の種類は、水指・軸・茶碗・棗など様々です。裏千家や表千家、三千家といった大きな茶道流派の関係者が記した書付が付属していると、作品の価値が大きく跳ね上がることも。書付は草書体をはじめ、現代ではあまり馴染みがない書体で記載されている場合が多いのが難点です。確実に書付の内容を把握するため、専門業者に確認を依頼しましょう。

書付は落語の題材にも取り入れられています。上方落語『はてなの茶碗』はその代表例。ひび割れがないのに水が漏れる不思議な茶碗の値段は、初めは二両でした。しかし奇妙な話を聞いた有力者が書付をし、価値が大きく跳ね上がるという演目です。