油彩画

油彩画(ゆさいが)とは、油絵具を用いて制作した絵画作品のことです。古くからヨーロッパの作家が制作しており、14世紀前ごろにイタリアの画家であるチェンニーニが著した『芸術の書』でも油彩画が登場しました。油彩画の技法が確立したのは、15世紀ごろのヨーロッパ。フランドル地方のファン・アイク兄弟らが中心となり、油彩画の技術が体系化されました。西洋の油彩画が日本に入ってきたのは幕末ごろで、現代に至るまで多くの作品が制作されています。

油彩画を制作する際は、鉱物や岩石の粉末である「顔料」を植物性の油で溶き、さらにテレピン油で希釈して油絵具を作ります。油絵具は乾くのが遅いため、遅乾性を活かして微調整をするほか、後から別の絵具を混ぜて複雑なぼかしを表現することも可能です。絵を描く際は筆だけでなく、ペインティングナイフとパレットナイフで不要な油絵具を取り除いたり、指で少しだけ油絵具を乗せたりと様々な技法を使用します。

技法のバリエーションが豊富なぶん、透明感のある描写から重厚な筆致まで、幅広い表現ができるのが油彩画の特徴。作家の個性や感性を存分に発揮でき、見ごたえのある作品を制作することが可能です。また油絵は耐久性に優れているため、数百年前の作品でも制作当時とほとんど変わらない状態で鑑賞できるのも魅力。レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』やクロード・モネの『印象・日の出』、ゴッホの『ひまわり』などの名画は、現代でも美しい色合いを残しています。