点描画

点描画(てんびょうが)とは、点の集合や非常に短いタッチで描かれた絵画作品のことです。作品を制作する際に線を用いないのが特徴で、フランスの画家であるジョルジュ・スーラが第一人者とされています。絵筆の尻に絵の具を付け、少しずつ画面に色を乗せていく方法を使うため、作品の完成までにかなりの時間を要します。

点描画を制作したジョルジュ・スーラは、新印象主義の創始者とも言われています。印象主義と新印象主義の作品の違いの1つは、絵を描くときのタッチ(筆致)です。印象主義は光の変化を捉えるためにサッと素早いタッチ、新印象主義は一点一点絵の具を置いていく短いタッチを用います。印象主義のタッチだと輪郭が曖昧になるのを克服するため、ジョルジュ・スーラは点描法を生み出しました。

ジョルジュ・スーラの点描画の代表例として挙げられるのは、『グラント・ジャット島の日曜日の午後』です。現実では大勢の人で賑わっていると考えられますが、絵を見る限りでは穏やかで時間が止まっているように感じられます。賑やかな情景を、平穏な雰囲気にまとめられるのが、点描画の特色です。

ジョルジュ・スーラが生み出した点描画は、同じくフランス人画家のポール・シニャックや、デンマークのカミーユ・ピサロなどが受け継ぎました。ポール・シャニャックは点描画に暖色を積極的に取り入れ、『朝食』や『カシスの桟橋』などを制作。カミーユ・ピサロもジョルジュ・スーラの影響を受け、『リンゴの収穫』のような点描画を残しました。