アタリ

アタリとは、陶磁器にできた小さな傷のことです。骨董用語では特に、釉薬の層に入っている放射状の傷を指します。釉薬の層に入った傷のことを「ニュウ(貫入)」と呼ぶ場合もありますが、アタリはそのなかでも特に放射状に広がっている傷を意味することを留意しておきましょう。アタリが発生する主な原因としては、器の胴体と他の食器や物との衝突が挙げられます。

陶磁器に傷が付いている状態を表す骨董用語には、「ホツ」や「ソゲ」という言葉もあります。ホツは口縁や高台が小さく欠けた状態、ソゲは器の一部分が削げ落ちている状態を指します。ホツやソゲはざらざらとした素地の層が覗いているのに対し、アタリは釉薬の層だけが傷ついている状態のため、表面のツヤの有無が傷の状態を見分けるコツです。

アタリをはじめ、購入後に作品に付いた傷は価値を下げる要因になります。特にアタリは欠け傷のように、金継などで修復することもできません。「傷もの」として安価で取引されるため、骨董品や美術品を所有している方は取り扱いに注意することが大切です。逆に多少傷が付いていても構わないから、優品を入手したい方にとってはねらい目である可能性があります。

高台の釉薬の層に付いている放射線状の傷は、「鳥足(トリアシ)」と呼びます。鳥のように、胴体の下に足が付いているように見えるためこの名称が付きました。胴体に付いている放射状の傷がアタリ、高台に付いている放射状の傷が鳥足です。