アビランド

アビランドとは、フランス南西部に位置するリモージュ地方で、1842年に創立した食器ブランドのことです。創設したのは、ニューヨーク出身の貿易商であるダビッド・アビランド。装飾や絵付けを中心に作業する工房として活動を開始し、ジャポニズムやアール・デコなど、時代ごとの流れを汲んだ製品を発表しています。

1842年に創立してから急速に成長し、国際展覧会や1855年開催のパリ万国博覧会などをはじめ、数多くの賞を受賞しました。1867年開催のパリ万国博覧会では金賞も受賞し、その地位を不動のものとして確立していきます。代表的な製品は、ナポレオン3世の皇妃からの依頼で制作したスミレ柄の食器です。ほかにも世界中の王侯貴族や高級ホテル、一流レストランからの注文を受けており、現在もフランスの高級食器ブランドとして知られています。

アビランドの特徴は、流行を取り入れた豊富なデザイン展開です。また、過去に興った芸術運動で流行した絵柄を現代になってからもう一度デザインに取り入れ、再解釈しているところから芸術性の高さも評価されています。1960~80年代製の製品のなかには、19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行したアール・ヌーヴォーを思わせるものも登場しています。

アビランドは21世紀に突入した現代も新しいシリーズを製作しており、2022年には「STANISLAS(スタニスラス)」、2023年には「ファラオ」を新作として発表しました。アビランドは180年以上精力的に活動を続け、今もなお新しいことに挑戦し続けている食器ブランドと言えます。