インペリアルポーセリン

インペリアルポーセリンとは、ロシアの磁器工房のことです。白磁に赤や青の釉薬で幾何学的な模様を描き、金彩で華やかさを添えた上品かつ格式高いデザインが特徴。ロシア帝国の発展に伴い、皇帝専用の工房として成長した歴史があります。2020年代も新作が発表されており、根強い人気がある磁器工房です。

インペリアルポーセリンは1744年に、当時のローマ皇帝ピョートル大帝の娘であるエリザベートの命によりサンクトペテルブルクで創設しました。皇帝専属の磁器工房として創設し、以降宮廷で使う陶磁器の生産を一手に担うようになります。1917年のロシア革命後は軍事需要の増加に伴いセラミック製品を取り扱うことも増加しましたが、その一方で伝統的な磁器の生産は続いていました。

1925年にロシア科学アカデミーの創立200周年を記念し、工房名を「ロモノーソフ磁器工場」と改名。1958年にはベルギーの首都ブリュッセルで開催された万国博覧会でグランプリを受賞し、世界的な評価も高めていきます。ソビエト連邦が崩壊した1991年以降は再び日常使い用の食器に力を入れるようになり、伝統的な食器の再現にも取り組むようにもなりました。2005年には工房名を「インペリアルポーセリン」に戻すことが決定されました。

インペリアルポーセリンの代表的なシリーズとして挙げられるのは、「コバルトネット」と「ブルースピンクネット」です。いずれもネットの編み目のような幾何学的な文様を描き、編み目が交差するポイントや食器の縁には金彩を施しています。インペリアルポーセリンは文様の緻密さや場を彩る華やかさが評判で、世界中にファンがいる磁器工房です。