ジアン

ジアンとは、フランスにある陶磁器窯のことです。正式名称は「Faïencerie de Gien」で、日本語だと「ファイアンス焼き」や「ファイアンス焼きの工場」と訳せます。ファイアンス焼きは陶器の一種で、純白と言うよりもあたたかみのある白磁なのが特徴。イタリアで生産が始まり、フランスでも評判となりジアンで作られるようになりました。

ジアンはイギリス人実業家のトマス・エドム・フルムによって、1821年に創業しました。原料となる土と粘土の採取や完成品の運搬に便利なロワール川、焼くときの燃料になる木材を調達できるオルレアンの森など、焼き物づくりに適した環境だったのが、ジアンが創業の地に選ばれた理由です。

1889年に開催されたパリ万国博覧会では金賞を受賞し、世界中の王侯貴族からの注目を集めました。1989年以降はフランスの高級ブランドが加盟する「コルベール委員会」に参加し、現代も製品の制作を続けています。

ジアンの陶磁器の特徴は、世界中の名窯をオマージュし、自社のデザインとして昇華しているところです。200年以上の歴史を振り返ってみると、19世紀後半に流行したジャポニズム(日本趣味)から影響を受けたものや、イギリス・イタリアといったヨーロッパ各国のデザインを取り入れたものが見られます。

代表的なシリーズは、フランスの花畑をイメージした「フローラルコレクション」や、19世紀のデザインを復刻させた古風なデザインの「クラシックコレクション」など。シンプルなものから華やかなものまでさまざま製品が揃っており、幅広いニーズに応えているのがジアンの特色です。