スージークーパーとは、イギリスの陶磁器ブランドのことです。創業者であるスージークーパーという陶磁器デザイナーの名前を、そのままブランド名として使用しています。創業年は、1929年。世界恐慌が始まり暗い雰囲気が蔓延するなか華やかなデザインの陶磁器を発表し、少しずつイギリス国民の生活に馴染んでいきました。

1932年に開催されたイギリス産業フェアに製品を出品した際、当時のイギリス国王ジョージ5世の妃であるメアリー王妃がスージークーパーの陶磁器を購入し、急速に注目を集めるようになります。1940年にはRoyal Designer For Industryに選出され、陶磁器の高級ブランドとしての地位を確立しました。

第二次世界大戦が勃発すると工場やショールームが破壊され、事業を一時中断します。大戦の終結後スージークーパーは再スタートを切り、ボーンチャイナの会社の買収を経て企画・生産・デザインの一連の流れをすべて自社で完結させることが可能になりました。

バッキンガム宮殿からの注文のみならず、北米やオセアニアなどへも製品を輸出し、世界的なブランドへと成長します。1972年にはその功績が認められ、創業者であるスージークーパーは大英帝国勲位を授与されました。

スージークーパーの製品の魅力は、淡く柔らかな印象を与える彩色とデザインです。戦前に発表した「ノーズゲイ」には、道端に咲いているような可憐な花の絵をあしらっています。戦後登場した「ワイルドストロベリー」は優しい色彩で野イチゴを大きく描いており、華やかかつ上品な雰囲気です。