ゼラチンシルバープリント

ゼラチンシルバープリントとは、昔ながらの白黒写真の印刷紙のことです。ほかにも、銀塩写真のことを指す場合もあります。1880年代中期に発明され、現在も写真の現像や写真作品の制作に使われています。1900年代後半にかけてモノクロのゼラチンシルバープリントの人気が高まり、多くの写真家が誕生しました。デジタルカメラの普及に伴い、ゼラチンシルバープリントの需要は減少していきましたが、現在でも一定の人気があります。

ゼラチンシルバープリントの用紙は、臭化銀のような光に反応する物質をゼラチンに混ぜ、紙に塗って乾燥させて作ります。光にすぐ反応する性質を持っているため、ゼラチンシルバープリントの用紙を使って写真を現像は、暗室で行うのが一般的。暗室で必要な部分にのみ用紙を光に反応させたあと現像液に浸し、写真として現像します。ゼラチンシルバープリントの用紙の登場により、小さいネガフィルムを引き伸ばしやすくなりました。

退色や亀裂など様々な劣化が発生することもありますが、現在までゼラチンシルバープリントならではの温もりを感じられる作品はたくさん残っています。代表的な作品例は、木村伊兵衛の『秋田市追分・板塀』や、植田正治の『風景』です。2人とも戦前から戦後にかけて活動した日本の写真家で、国内外で高い評価を得ていました。小林紀晴・嶋田篤人・瀧本幹也など、今活動している写真家で、ゼラチンシルバープリントを撮影したことがある人物も大勢います。