タスカン

タスカンとは、イギリスの陶磁器ブランドのことです。「トスカン」と呼ぶこともあります。イングランド北西部に位置する、スタッフォードシャーで1775年頃に創業しました。当初は親族で活動しており、陶芸家として製品を生産していたようです。1878年にR.H.プラントが会社を設立し、営利組織として運営を開始しました。

運営に関わっていたベンジャミン・プラントは製品の細部にまでこだわり、タスカンは品質の高い陶磁器を生産します。一時はイギリスの高級ブランドまで上り詰めましたが、20世紀後半にウェッジウッドグループの傘下に入りました。現在は「ロイヤルタスカン」というブランド名が使われています。ウェッジウッドグループの傘下に入る前の製品は、陶磁器の裏面などに配しているバックスタンプから読み取ることが可能です。

タスカンの製品の特徴は、鮮やかかつ大胆なデザインと、彩色を引き立てる白い背景です。緑・金・ピンクなどさまざまな色を用いて、器に大きく絵柄をあしらっています。豪奢な絵付けですが繊細な模様や陰影と、滑らかなで白い素地が上品さを加え、ちょうどよいバランスが取れているのが魅力です。

150年近くの歴史を持つタスカンは、アンティーク食器のコレクターからも人気を集めています。「ノクターン」は、大きめに描いた花柄が印象的なシリーズです。花を描くところと白い素地を見せるところをハッキリと分けており、華やかながら落ち着いた印象も与えます。ほかにも鮮やかな水色が映える「シャレード」や黒とブラウンの配食が大人っぽい「コンチェルト」など、数多くのシリーズを発表しています。