ダヴェンポート

ダヴェンポートとは、イギリスの陶磁器ブランドのことです。イングランド西部のスタッフォードシャーのロングポートという街で創業しました。品質の高さが評価されており、「スタッフォードシャー地方の三大工場」と呼ばれるほど人気のブランドです。美しい金彩や、遊び心を感じられるシルエットが魅力です。

ダヴェンポートは、1794年にジョン・ダヴェンポートによって創業されました。ジョンは幼い頃に父親を亡くして貧しい幼少期を過ごしており、学校に行かず働いて家計を支える生活を送っていました。20歳の頃に陶磁器生産に従事するようになり、その3年後には共同経営者に抜擢されます。その時に会社経営の仕方を学んだり資金を蓄えたりし、ロングポートにあった陶器工場を買収したことでダヴェンポートの活動が始まりました。

創業後は「スタッフォードシャー窯業群陶土共同使用組合」という団体に加わり、当時一世を風靡していたウェッジウッドと同様の陶土が使えるようになったため、模造品の制作に力を入れるようになります。また磁器製造にも注力し、フランスでの勉強を経て疑似硬質磁器を完成させました。

さらに事業拡大を狙って参入したガラス製品の経営では大成功を収め、ジョージ4世とウィリアム4世からは王室御用達の称号を授かります。ヨーロッパ各国だけでなく北米・南米・インドなどにも販路を拡大し、一時期は世界規模の企業にまで成長したダヴェンポートですが、待遇の悪さに反発した従業員が離職する事態が発生。1880年頃には国際収支が悪化と赤字店舗の増加が続き、1887年に廃業することになりました。