ニュウ(貫入)

貫入(かんにゅう)とは、陶磁器やガラスに入ったひび割れのことです。特に、器の表面に塗ってある釉薬にのみ入った浅いひび割れのことを指します。もともとは焼成の際に生じたひび割れを意味していましたが、近年は経年変化により後世に生じたひびもニュウと呼ぶことがあります。

ニュウが発生する原因は、焼成するときに胎土(粘土)と釉薬の熱膨張に差が生じるためです。ほかの物質と同じように、胎土や釉薬も熱が加わると膨張します。均一に熱膨張が生じればきれいに焼成できるのですが、うまくいかなければ器に不具合が生じることに。ニュウができるのは、釉薬の熱膨張係数が胎土よりも大きいときです。胎土よりも大きく膨張した釉薬は、冷却するときに引張応力が生じてニュウが入ります。

一度ニュウが生じると修理するのは難しく、また修理できたとしても費用が高額になる傾向にあります。ニュウが生じた状態で使い続けるほか、なかには金継風に修復してオリジナルの陶磁器に作り替える人もいるようです。

ニュウが入ると作品の価値が下がると思いがちですが、時と場合によっては価値が上がることも。陶磁器を制作してから時間が過ぎればすぎるほど、ニュウには汚れが入り、茶色もしくは黒ずんで見えることがあります。汚れが入るほど長期間存在し続けてきたと解釈し、価値が上がるときもあるのです。自身が現在所有している、もしくは購入を検討している陶磁器のニュウには価値があるのか気になる方は、一度専門業者に問い合わせてみてください。