ニューカラー

ニュー・カラーとは、カラーフィルムを使用して撮影された写真作品のことです。特に、1970年代に撮影された作品のことを指します。カラー写真の技術そのものは1940年代に実用化され、報道や広告業界などで使用されていました。しかし保存性や表現性といった面ではモノクローム・フィルムに劣るという考えが主流で、芸術的な意味合いでの写真作品に使われることはほとんどありませんでした。

「写真作品に使うのはモノクローム・フィルム」という潮流に一石を投じたのが、1976年にニューヨーク近代美術館で開催された、アメリカの写真家ウィリアム・エグルストンの個展です。評論家からの批判が集まる一方で、カラーフィルムで撮影した写真に魅力を感じる人も徐々に増加し、写真作品にもカラー写真が頻繁に登場するようになりました。1981年には、カラー写真のみを対象にした展覧会が開催されます。同時に写真集も刊行され、さらにカラーフィルムで写真作品を撮影する流れが広まっていきました。

ニュー・カラーは、カラー写真のなかでも初期にあたる作品群を指すことができます。当時のカラー写真の特徴は、光の効果を巧みに用いた作品が多いところ。光に焦点を当てた作品が多いことから、ときには「ニュー・アメリカン・ルミニズム」と呼ばれることもあります。代表的な作家は、カラー写真の先駆者的存在のウィリアム・エグルストンのほか、アメリカの写真家スティーブン・ショア、ジョエル・スターンフェルドなどが挙げられます。