ニューホール

ニューホールとは、イギリスの陶磁器メーカーのことです。18世紀後半から19世紀前半にかけて生産活動をしていたメーカーで、今もなおアンティークファンからの根強い人気があります。ピンク色の草花や格子模様、ニッティングパターンといった素朴なデザインを取り入れているのが特徴です。

ニューホールは複数の団体が事業を行うために設立した連合体「シンジケート」として設立されたため、資料があちこちに散らばったり喪失したりし、歴史があまり整理されていません。一説によると、「プリマス窯」という1760年代から1770年代に存在した窯を買収し、1780年代前半に設立したそうです。ニューホールの製品に描かれている絵柄の緻密さと自然なグラデーションからは、当時の職人の技術力が感じられます。

1810年代にはボーンチャイナの生産を開始し、一時期はニューホールの知名度が上がりました。しかしながら、1830年代に閉窯することになります。50年程度の比較的短い活動期間でしたが、高い品質と食卓を優しく彩るデザインが評価され、現在も世界中からの注目を集めています。

ニューホールでは、ティーボールやソーサーなどを主に生産していました。ティーボールは取っ手が付いていないティーカップのようなもので、日本茶を飲む茶碗と同じかひと回りくらい大きいサイズ感です。ソーサーもティーカップの底に付いている高台がすっぽりと隠れるほど深く、現在とは違ったシルエットなのが印象的。茶器のデザインの変遷を伺えるのも、ニューホールの製品の特色です。