プレートマーク

プレートマークとは、銅版画作品の四辺に見られる独特のくぼみのことです。新品の銅板は断面が直角なため、プレス機のローラーで強い圧力をかけながら印刷すると、インクを転写するための紙や、紙とローラーの間に重ねてあるフェルトまで切断してしまうことがあります。銅板の四辺を45度くらい落とし、紙やフェルトの損傷を防ぐために施した加工が、プレートマークとして印刷後の紙面に写し出されるのです。

プレートマークとして紙面に写し出される銅板の傾斜のことを、「ビゾー」と言います。ビゾーの大きさの目安は、幅約2~3mm、傾斜約30~45度です。作業の際は、銅板をガムテープや万力などで固定して、一辺ずつ作業を行っていきます。初めに銅板に傾斜をつけ、ビゾーの位置や大きさを決めた後、いったん銅板への描画と腐食に取り掛かります。

描画と腐食が完了したら、ビゾーも仕上げていきます。まずは、傷が付いた部分や誤って腐食させた部分を、改めて紙やすりで研磨して調整。「ささくれ」や「まくれ」もできているため、スクレーパーで削り取る作業も必要です。最後に数滴の機械油を使い、傾斜部分をピカピカになるまで磨いたら、ビゾーが出来上がります。

印刷が終わったら、銅板に付着したインクを拭き取ります。ビゾーの部分のインクを拭くときは、傾斜をつまむようにして手を動かすのがコツです。ビゾーがきれいにできていると、印刷後の紙面には、フレームのような美しいプレートマークが写し出されます。