ポーセリンプラーク

ポーセリンプラークとは、装飾として洋画を描いている磁器のことです。日本語での意味は「陶板画」。海外では磁器作品のみをポーセリンプラークと呼びますが、日本においては磁器と陶器の区別を付けずにこの名称を使用しています。油絵のような肖像画や風景画を、キャンバスに見立てた長方形の陶板に描いているのが特徴です。

ポーセリンプラークが生まれたのは19世紀初頭のベルリン。1840年代に流行のピークに達し、工房に属さないフリーの磁器の絵師「ハウスマーラー」が中心となって制作しました。当時の主なモチーフは、1840年代以前に描かれた古い名作。本物そっくりに模倣したものから、細部に重点を置いたものまで様々な作品が作られました。1870年代になると、女性や宗教も題材として取り上げるようになります。

ポーセリンプラークを制作する際は絵付けと焼成を繰り返すため、発色の変化を操る非常に高度な技術が必要です。過去の名作を模倣する際は原画の色の分析から作業が始まり、そのあと陶板に転写します。自然な陰影が付いている点や、色ムラの少なさが評価をするうえで重要です。

ベルリンで制作が始まったポーセリンプラークはヨーロッパ各地に広がり、国や地域ごとに特色のある作品が制作されました。リモージュ(フランス)やウィーン(オーストリア)では、民話の一場面やその時の流行を取り入れた作品が作られています。イギリスでは「ガーデン風景」のようなテーマに基づいた絵や、動植物をデザインとして取り入れたものを制作しました。