ミニマルアート

ミニマルアートとは1960年代のアメリカに出現した、形態や色彩を最小限にし、作家の痕跡など余計な知覚を排除した作品を理想とする表現です。

作品の特徴は、幾何学的な形態やその反復による構造であることや、工場の製造品や既製品が使われることや、観る者を圧倒する規模であることです。そのため典型的とされるものには立体の作品が多くあります。

代表的作家のドナルド・ジャッドが1965年に提唱した概念に、ミニマルアートの理念がよく示されています。それは、理想の作品は、絵画でも彫刻でもない革新的なアート、「スペシフィックオブジェクト」(訳語は特殊な客体)であるというもので、イリュージョンを排し、物そのものが純粋に知覚されるべきであるとの主張でした。

不変で純粋な知覚を目指したミニマル・アートに対して、批評家のマイケル・フリードは、1967年の論文「芸術と客体」において、ミニマルアートには従来の絵画や彫刻の持つ「瞬間的無時間性」がない、(つまり観る者の行動や時間に左右されることで、観る者が作品に対して同じ経験を繰り返せない)という点で「演劇的」だと批判しました。これはミニマルアートにとって逆説的な指摘となりました。その問題は次世代へと引き継がれていきました。

代表作家としては他に、 ロバート・モリス、カール・アンドレ、ロバート・ライマン、アグネス・マーティン、ロバート・マンゴールドらが挙げらます。