モデリング

モデリングとは、可塑性(力が加わると形が変形し、力を抜いた後も変形したままの形が残る性質)がある柔らかい素材を用いた彫刻作品のことです。細い芯棒に粘土などを少しずつ重ねたり、要らない部分を取り除いたりして想像通りの形を創ります。対照的な彫刻として、木材や石を削って創る「カーヴィング」が挙げられます。

近年のモデリングでは、シュロ縄を巻いた芯棒に粘土をつけて作るのが一般的です。粘土による造形が終わったら塑像原型として型取りをし、ブロンズやFRPを流し込んで像が完成します。作品制作に使用する素材や、作家によってモデリングの手法はたくさんあり、焼成する必要がある作品は芯棒を抜いて中を空洞にしたり、北村西望や淀井敏夫は「石こう直付け法」を取り入れたりしています。

日本にも古くからモデリングの技術は存在しており、岡寺の本尊である『如意輪観音菩薩(奈良時代・重要文化財)』や、興福寺の『阿修羅像(奈良時代・国宝)』などはその代表例です。昔の日本では、モデリングを仏像づくりに用いていたことが伺えます。素材も制作する仏像によって異なっており、興福寺の『阿修羅像』は漆と木の粉を混ぜた「木屎漆(こくそうるし)」を使用しています。

また近年は、骨董・古美術との関連はありませんが、コンピューター上の3DやCGの技法でも「モデリング」という言葉が使われるようになりました。3DやCGはコンピューターの画面に表示されるものですが、三次元的かつ立体的なものを創造する点で、彫刻のモデリングと共通しています。