リチャードジノリ

リチャードジノリとは、イタリアの総合陶磁器メーカーのことです。イタリアのトスカーナ大公国のカルロ・ジノリ侯爵が自身の領地で窯を開き、1735年に創業しました。当時人気を集めていたマイセンやウィーン窯に対抗するため、ジノリ侯爵自ら原料となる土を捜索し、イタリアで初めて白磁を完成させました。

1896年にミラノのリチャード陶製社と合併し、現在のリチャードジノリとなります。合併により新しい特許を得て、リチャードジノリはさらに創造的かつ完璧な陶磁器を作れるようになりました。1925年にはパリで開催された万国博覧会にて、アートディレクターのジオ・ポンティは工場と芸術監督の2つのグランプリを受賞。古代ギリシア・古代ローマの意匠や東洋趣味などを取り入れた革新的な陶磁器は、世界的に高い評価を得るようになりました。

第二次世界大戦後は生活様式の変化や流行に合わせ、さまざまな製品を発表していましたが、多額の負債により2013年に破産。同年にイタリアのファッションブランドGucciが買収し、「GRG S.r.l.(グッチリチャードジノリ)」として再スタートをきりました。2020年にはさらに名称が変わり、現在は「ジノリ1735」というブランド名が使われています。

2023年時点で、リチャードジノリが展開しているシリーズは20種類以上あります。1770年頃とある貴族が別荘で使うための食器としてデザインされた「イタリアンフルーツ」や、日本の陶磁器の影響を受け創業者カルロ・ジノリの時代に生まれた「レッドコック」は、根強い人気があるシリーズです。