レディ・メイド

レディ・メイドとは、フランスの近代芸術家マルセル・デュシャンが生み出した芸術概念です。レディ・メイドという言葉はもともと「既製品」という意味で用いられていましたが、マルセル・デュシャンによって芸術的な意味が加えられました。主に、大量生産された製品を陳列したり組み合わせたりして制作した作品を指します。

レディ・メイドの概念が生まれる前、芸術作品といえばアーティストが職人のような手法を用いて制作する、世界にたった一つしかないものと考えられていました。しかしマルセル・デュシャンは大量生産された既製品を取り入れることで、芸術作品は手仕事によるもの、真作は1点しかないといった考えを否定しようと試みます。彼は「芸術作品の本質的なこととは、美しいか否かではなく、見る人の思考を促すか否かだ」という考えのもと活動しました。

マルセル・デュシャンが制作したレディ・メイドの代表作としては、市販の便器に『泉』という作品名を付けたものや、鉄製のボトルラックをそのまま展示した『ビン掛け』、台所用スツールと自転車の車輪を組み合わせた『自転車の車輪』などが挙げられます。

レディ・メイドという概念の登場により、芸術作品の範疇は大きく広がりました。ディ・メイドから影響を受けた芸術ジャンルには、廃物芸術のジャンクアート、マスメディアを題材にした大衆芸術のポップアート、寄せ集めや積み上げによって立体作品を制作するアッサンブラージュなどがあります。