レノックス

レノックスとは、アメリカの陶磁器メーカーのことです。ウォルター・スコット・レノックスという人物によって、1889年に創業しました。従業員数は20人にも満たず、当初はアートスタジオとして活動していました。その後会社が成長するにつれて、テーブルウェアの生産を手掛けるようになります。

レノックスが注目されるようになったきっかけは、1916年にニューヨーク5番街にあるティファニーの店頭で、レノックスの作品が飾られたことです。評判を耳にした当時のウィルソン大統領が声をかけ、1918年には公式晩さん会用の食器としてレノックスの製品が使われました。1918年から2008年にかけて、レノックスはホワイトハウス向けのデザインを6種類製造しています。

レノックスの陶磁器の特徴は、透明感とツヤがある象牙色の地肌と、華やかな彩色です。世界中に数ある象牙色の陶磁器のなかでも特に透明性が高く、「レノックス・チャイナ」と評価されています。つややかな陶磁器に花を添えるよう、手塗りで彩色を施しているのも上品です。また耐久性にも優れており、一度購入したら長く使い続けられます。

レノックスを代表するシリーズは、エナメル装飾とアラベスク文様を施した「オータム」や、ディズニーとのコラボで製造した「ディズニーフィギュリンコレクション」など。大統領のために製造したコレクションはホワイトハウスやアメリカ国内にある各国の大使館が所有するほか、メトロポリタン美術館やスミソニアン博物館なども所蔵しています。