ローゼンタール

ローゼンタールとは、ドイツ南東部に位置するバイエルン地方に拠点を置いている焼き物ブランドのことです。プレートやティーカップなど、食器類を多く生産しています。1879年にフィリップ・ローゼンタールという人物が、バイエルン地方のゼルプという街にあるエアカースロイト城に絵付けの工房を設立したのが始まりです。

設立当初のローゼンタールは、葉巻用の灰皿で人気を集めました。シンプルな灰皿を仕入れ、城の工房で絵付けを施したものが評判となり、売り上げが上昇。その後磁器そのものを生産する工房も創設し、焼き物ブランドとしての礎を築きました。1916年には、自身の妻の名前を冠した「マリア・ホワイト」という食器セットのシリーズを発表。「マリア・ホワイト」はベストセラーになり、ローゼンタールは食器ブランドとしての地位も確立しました。

第二次世界大戦後は、フィリップ・ローゼンタールの息子(フィリップ2世)もブランドの運営に参画します。フィリップ2世は時代ごとの流行に合わせた製品を発表し、ローゼンタールをより大きく成長させました。著名なデザイナーとのコラボにも意欲的に取り組み、数々の賞も受賞しています。

ローゼンタールの代表的なシリーズとしては、「スタジオライン」や「魔笛」などが挙げられます。スタジオラインは1961年に登場したシリーズで、陶磁器業界におけるデザイナーとのコラボシリーズの先駆け的な存在です。魔笛はデンマーク出身の芸術家ビョルン・ヴィンブラッドとのコラボシリーズで、劇中に登場する歌詞を器にあしらったり、劇の一場面を器の凹凸のみで描いたりしているのが特徴です。