丹波立杭焼

丹波立杭焼(たんばたちくいやき)は、兵庫県丹波篠山市今田地区で生産されている焼き物です。特徴は、「灰被り(はいかぶり)という独特の文様と色が浮かび上がっているところ。約1,300度もの登り窯で60時間近く焼くうちに、燃料である松の灰と土に含まれる鉄分、器にかかっている釉薬が化学反応を起こし、個性的な色や図柄が現れるのです。灰のかかり方や炎の当たり方などによってさまざまな色合いと文様が現れるため、1つとして同じ作品はありません。

丹波立杭焼の歴史は、平安時代末期にまで遡ります。昭和52年の兵庫県の発掘調査から、三本峠という場所が発祥と考えられています。当初生産していたものは、水や米を貯蔵する大型の壺、徳利・桶・盤といった日用品が中心でした。江戸時代中期になると、茶器全般・鉢・湯たんぽなど、さらに生活に密着したものを増産していきます。現在は、食器・酒器・花器などの民芸品の生産が中心です。日本六古窯の1つに数えられており、昭和53年には国指定の伝統的工芸品になりました。

丹波立杭焼は、陶土の採取から始まります。現代の丹波立杭焼でよく使われる陶土は、三田市の四ッ辻や丹波篠山市の丹南地区のものです。ロクロでの成形が終わると、文様・装飾に取り掛かります。植物の葉を貼りつけて文様を残す「葉文」、ひも状にした粘土を後から貼り付ける「貼り付け」、先端をとがらせた木や竹で表面に文様を描く「釘彫り」は、丹波立杭焼独特の技法。釉薬を塗り、焼成すると、丹波立杭焼の完成です。