会津本郷焼

会津本郷焼とは、福島県会津美里町を中心に生産されている陶磁器のことです。「東北地方最古の窯場」と言われており、経済産業省指定の伝統的工芸品にもなっています。全盛期は100カ所以上の窯元がある陶磁器の一大産地でしたが、現在は13カ所程度まで減少。各窯元が協力しながら、伝統の技を伝える取り組みも行っています。

会津本郷焼の特徴は、さまざまな種類の絵の具を使用しているところです。「呉須(ごす)」という青色の絵の具や日本の伝統的な絵の具、西洋のものなどを幅広く使っています。釉薬による光沢や質感の表現も多彩で、職人や窯元の個性を感じ取れるものがたくさん生産されています。

また、陶器と磁器の両方を作っているのも会津本郷焼の特色です。窯元によって、陶器のみ・磁器のみを生産しているところもあれば、両方を作っているところもあります。窯元ごとに独自のスタイルで生産しているのも会津本郷焼ならではです。

窯元ごとの違いが大きい理由のひとつに、会津本郷焼の歴史が挙げられます。会津本郷焼は、1593年にお城の改修のため播磨国から瓦職人を呼び寄せ、瓦を造らせたのが始まりとされています。1645年に美濃国瀬戸出身の陶工が焼き物づくりに適した土を見つけたことをきっかけに、本格的な陶器の生産が始まりました。磁器の生産が始まったのは、1800年代に入ってからです。

当初は会津藩が奉公所を設置し、焼き物産業を奨励していましたが、奉公所の解散により、窯元ごとに自由に生産するようになりました。これにより、「会津本郷焼」という括りではあるものの、窯元ごとの個性が際立つようになったと考えられています。