岩絵具

岩絵具(いわえのぐ)とは、鉱石を砕いて作った粒状の絵具のことです。粒状の鉱石単体では接着力がないため、膠を混ぜて絵の具として使います。日本では、日本画・彫刻・建築・工芸など様々な作品に使われてきました。岩絵具を製造する会社にもよりますが、粒の細かさは5~13番までの番号で分類されています。数字が大きくなるほど粒子が小さくなり、明るい色を表現することが可能です。13番よりも粒子が小さい岩絵具は、「白(びゃく)」と呼ばれています。

粒状になっている岩絵具を塗料として使うには、膠を混ぜて接着力を持たせる必要があります。岩絵具と膠を混ぜるときは、膠が岩絵具1粒1粒をコーティングするよう、指先で丁寧に練っていきます。作品に岩絵具と膠を混ぜたものを塗る際は、水を加えて濃淡や質感を調整するのが一般的な流れです。絵の具を使いきれなかった場合は、「膠抜き(にかわぬき)」というお湯を注いで膠を分離させ、岩絵具を取り出します。

岩絵具は、天然鉱石でできた「天然岩絵具」と、近代になり人工的に作られた「新岩絵具」「合成岩絵具」があります。天然岩絵具は希少であるぶん高価ですが、膠と馴染みやすく深みのある発色が魅力です。焼いて炭化すると、暗色系の色数を増やすこともできます。新岩絵具は、人口石でできた岩絵具。色数が豊富で、耐久性に優れているのが特色です。合成岩絵具は、水晶末などに特殊な着色をして作った岩絵具を指します。明るい色調と、中間色や蛍光色もあるのが特徴です。