彫刻

彫刻とは、木材・金属・石・プラスチックといったさまざまな素材を、彫ったり鋳造したりすることで創られる造形芸術のことです。素材を彫刻刀などで彫り進めるものと、粘土や石膏などで少しずつ肉付けするものの2種類があり、狭義には前者を「彫刻(カービング)」、後者を「塑像(モデリング)」と呼ぶことがあります。

彫刻の歴史はとても古く、旧石器時代のものがヨーロッパや東南アジア、紀元前約9,000年に作られた等身大の石像が現在のトルコから見つかっています。その後も古代ギリシア・ローマ、ルネサンス期、近代彫刻など、時代ごとに数多くの作品が制作されました。第二次世界大戦後は鮮やかな彩色を施したものや、プラスチックのような合成樹脂を用いたものが登場しており、彫刻の進化は続いています。

彫刻を制作する目的も幅広く、芸術作品や自己表現として作ることもあれば、宗教的な意味合いを背景に作るケースもあります。題材も動物・植物・食べ物・人物など多岐に渡ります。木材や石といった素材の質感の違いが作品の印象に影響を与えることもあり、表現の幅が無限に広がっているのが彫刻の魅力です。

彫刻の作品例としては、ギリシアの『ミロのヴィーナス』、ミケランジェロの『ダビデ像』、アフガニスタンの『バーミヤン大仏』、オーギュスト・ロダンの『地獄の門』といったものが挙げられます。現在も草間彌生の『かぼちゃの彫刻』をはじめ数多くの彫刻作品が生み出されており、今後のどのような作品が登場するか目が離せない芸術分野です。