置賜紬

置賜紬(おいたまつむぎ)とは、山形県南部の置賜地方で生産されている織物のことです。特に、米沢市・長井市・白鷹町でよく作られています。特徴は、地区ごとに受け継がれている技術が異なるところ。米沢市では自然素材でできた染料を使った「草木染紬」と「紅花染紬、長井市では「緯総(よこそう)絣」や琉球の織物の影響を受けた「米琉絣(よねりゅうかすり)」、白鷹町では国内だとここでしか見られない「板締(いたじめ)染色技法」という独特の技法が受け継がれてきました。

置賜地方では、江戸時代初めより織物の染料として使う青苧(あおそ)を生産していました。しかし青苧に代わって養蚕が盛んになったのに伴い、置賜地方は絹織物の産地となります。1776年に越後から職人を招き、置賜地方での織物づくりの研究と技術の習得が進んだことで、置賜紬が本格的に作られるようになりました。そして1976年には米沢市・長井市・白鷹町の3地域で生産している織物を「置賜紬」と総称するようになり、同年2月には国指定の伝統的工芸品に登録されました。

3地域ごとに細かい工程は異なりますが、先染めを取り入れていることと、平織りで織り上げていることは共通しています。先染めとは、生地になる前の糸を先に染めてから生地を仕立てる技法です。平織りは、縦糸と緯糸が交互に交差するように織る方法。いずれも手間のかかる作り方ではありますが、手作りの良さが注目されており、人気を集めています。