KPMベルリン

KPMベルリンとは、ドイツの陶磁器メーカーのことです。Kはドイツ語の「Königliche」の頭文字を取っており、「王立」と訳すことができます。別名は「ベルリン王立磁器製陶所」で、すべての製品にブランデンブルク選帝侯の紋章が由来のコバルトブルーの王笏が付いているのが特徴です。ドイツ主要7窯の1つにも数えられています。

KPMベルリンは、プロイセン王国のフリードリヒ2世によって1763年に設立されました。七年戦争で陶磁器の名産地であるマイセンを攻略し、マイセンから職人を引き抜いて創設したそうです。宮殿で使用する陶磁器だけでなく、国内外の王侯貴族への贈り物も多数生産し、フリードリヒ2世だけで450ピースから成る21ものディナーセットを注文したと伝わっています。

KPMベルリンではこれまで、流行の変化や技術発展に柔軟に対応し、さまざまな製品を制作してきました。カラーバリエーションが豊富な「クアランド」、丸みを帯びたシルエットと上質感のある白磁が優雅な印象を与える「ロカイユ」、世界中の優れた工業製品に贈られるiFデザイン賞を1998年に受賞した「ベルリン」などは、KPMベルリンの代表的なシリーズです。

KPMベルリンの製品は、21世紀に突入した現代でもほとんどが職人の手作業によって作られています。近年は高級車メーカーのブガッティや、イタリアのハイブランドであるボッテガ・ヴェネタとコラボした個性的な製品も発表しており、伝統を守りつつ新しいものも柔軟に取り入れているのがKPMベルリンの魅力と言えます。