絵画を売却しようと考えたとき、多くの方が最初に悩むのが「少し汚れているけれど、掃除した方がいいのだろうか?」という点です。
結論からお伝えすると、自己判断で掃除や手入れを行うことは、基本的におすすめできません。
善意で行った行動が、結果として作品の価値を下げてしまうケースは、実務の現場でも少なくありません。
なぜ「掃除しない方がよい」のか
絵画は、家具や日用品とは異なり、表面そのものが価値の一部になっています。
■ 絵具の層
■ 画面の質感
■ 経年変化を含めたオリジナル性
これらは非常に繊細で、一度手を加えると元に戻すことができません。
そのため、「きれいにしたい」という気持ちが、逆に評価を下げる原因になることがあります。
やってはいけない手入れ①|表面を拭く
最も多いNG行動が、布やティッシュで表面を拭いてしまうことです。
■ 乾いた布で軽く拭く
■ ティッシュやキッチンペーパーを使う
■ ほこりを払うつもりで触る
これらの行為でも、絵具の剥落や表面の摩耗が起きる可能性があります。
特に油彩や日本画は、見た目以上にデリケートです。
やってはいけない手入れ②|洗剤・アルコールを使う
汚れが気になる場合に、洗剤やアルコールを使ってしまう例も見られます。
■ アルコールシートで拭く
■ ガラスクリーナーを使う
■ 水拭き・濡れ布巾で拭く
これらは、変色・溶解・表面破壊を引き起こす可能性があり、査定上は大きなマイナス評価につながります。
やってはいけない手入れ③|破損部分を自己修復する
破れや剥がれを見つけた際に、つい補修してしまうこともあります。
■ テープで留める
■ 接着剤を使う
■ 裏から紙を貼る
これらはすべて、不適切な修復跡として扱われる可能性が高く、修復前より評価が下がるケースもあります。
額やガラスの扱いにも注意が必要
作品そのものだけでなく、額装の扱いにも注意が必要です。
■ 額から無理に外す
■ ガラスを交換する
■ 留め具を外してしまう
額は、作品の来歴や展示状況を示す要素になることもあり、現状のまま保つことが基本です。
掃除の代わりに「やってよいこと」
では、何もしなくてよいのかというと、そうではありません。
■ 触らずに状態を確認する
■ ほこりが付かない場所に移動する
■ 直射日光や湿気を避ける
これらは、価値を守るための行動として有効です。
絵画の保管で気をつけたいポイント
売却まで時間がある場合は、保管環境を整えることが重要です。
■ 直射日光が当たらない場所
■ 湿気の少ない環境
■ 温度変化の少ない部屋
とくに、押し入れ・床下・窓際などは、カビや劣化の原因になりやすいため注意が必要です。
立て掛け・重ね置きは慎重に
一時的な保管であっても、
■ 壁に直接立て掛ける
■ 複数枚を重ねる
場合は、倒れや圧迫による破損リスクがあります。
クッション材を挟む、安定した場所に置くなど、物理的なダメージを防ぐ工夫が必要です。
不安があるときは「触らず相談する」
状態や扱いに不安がある場合は、何もせずに相談するのが最も安全です。
■ この汚れは問題ないのか
■ このまま保管して大丈夫か
■ 早めに対応した方がよいか
こうした判断は、専門家の視点を入れることで、後悔のリスクを大きく減らすことができます。
手を加えないことが、最良の手入れになる
絵画に関しては、
■ 自己判断で掃除しない
■ 洗剤・アルコールを使わない
■ 修復しない
■ 環境だけ整える
これが、価値を守るための基本姿勢です。
「きれいにしたい」と思ったときほど、一度立ち止まることが、結果的に最も良い選択になることがあります。

