清水焼とは、京都で生産されている陶磁器のことです。もともとは東山エリアで作られていたものを「京焼」、清水寺の参道とその周辺で作られていたものを「清水焼」と呼び分けていましたが、生産地域の広がりや技術の多様化により、京都で作られた陶磁器の総称として用いられるようになりました。
京都はもともと都だったこともあり、全国各地からの陶磁器が集まるのに加え、海外からの輸入品も入手できたため、独自の焼き物を作ることはありませんでした。しかし約400年前の安土桃山時代ごろから茶の湯が流行したことをうけ、独自の焼き物を作る機運が高まったことで陶磁器の生産が始まったとされています。江戸時代には野々村仁清や尾形乾山をはじめ、現在まで伝わる名工も登場しました。
他の焼き物と比べると清水焼には共通点を見出すのが難しく、陶工や工房によって違いが見られるのが特色です。共通点を探すのが難しい理由としては、京都で陶磁器を制作するにあたり、日本各地から集めた上質な材料を使用していたことが考えられます。京都では作陶に必要な原料があまり採れなかったため、材料は他の地域を頼っている状況でした。
茶の湯が流行するなかで生まれたこともあり、古い清水焼は茶碗をはじめとした茶器類がよく見られます。近年は箸置きや洋食器風のお皿など、さまざまな製品が登場しています。日本のわびさびを思わせる素朴なものから、鮮やかな彩色で自然風景を描いたものまで、個性豊かな陶磁器が生産されています。