リフティング

リフティングとは、紙に塗った絵の具の色を、筆やティッシュで拭き取ったり吸い取ったりする技法のことです。ハイライトを入れる、境界線をぼかすといった絵画表現だけでなく、不要な絵の具を吸い取って絵を修正するときにも使われます。絵の具の乾き具合や使用する道具によっては、2割以上の色を吸い取ることが可能です。

リフティングの方法は、擦る・抑える・叩くなど多岐に渡ります。使用する道具も、筆・ティッシュ・スポンジ・ガーゼ・海綿などさまざまです。絵の具の乾き具合や使用している紙の種類、自分が表現したいもののイメージなどに合わせて、柔軟に使い分ける必要があります。力を入れすぎると色を全部吸い取ってしまい、リフティングした箇所だけが真っ白になる場合もあるため、力加減も大切です。

リフティングのしやすさは、絵の具の乾き具合や水彩紙の素材によって大きく異なるとされています。絵の具の乾き具合に関しては、絵の具が紙に定着する前に吸い取るため、乾いていないものほどリフティングしやすい傾向にあります。水彩紙の素材に関しては、木材パルプ製の紙はリフティングしやすく、コットン製は難しいと言われています。

近年は「リフティング・プリパレーション」という画材が登場しており、絵を描く前に紙に塗って乾燥させておくことで、リフティングが簡単にできるようになっています。水彩画を描くときにリフティングの技法を使うことを考えているときや、製作途中で修正しやすいようにしたいときは、リフティング・プリパレーションを使うのもひとつの方法です。