ソルトテクスチャーとは、水彩画で用いる技法のことです。水彩絵の具が乾く前に塩を振りかける技法で、塩が絵の具の水分を吸い取ることで、花や雪の結晶のような模様を作れるのが特徴です。雪景色や水辺の風景など、さまざまな表現に用いられています。静止画の背景にも活用でき、水彩画では欠かせない技法です。
ソルトテクスチャーをするときは、多めの水で溶いた水彩絵の具を使用します。絵の具が濡れている間に塩を振りかけた後、塩が絵の具の水分を吸い取り、画用紙が乾くのを待ちます。画用紙が乾いたら、表面に残った塩を払い落して完成です。塩が水分を吸い取った箇所は白くなるため、パステルカラーよりは濃い色で着色した箇所の方が、ソルトテクスチャーの様子がよく分かります。
使用する塩の種類には特に決まりはなく、家庭用の食塩でも、天然の塩でも構いません。粒の大きさによって生み出される表現は異なるため、表現したいイメージに合わせて塩を使い分けることも可能です。粒が大きすぎると塩の結晶の質感が残りやすいため、必要に応じて磨り潰したり、細かい塩を使ったりすることもあります。
また、水彩絵の具に含ませる水の量が多すぎると、塩が完全に溶けて模様が分からなくなります。逆に水の量が少なすぎると、塩が溶けず粒が残ってしまうため、水分量の調整には注意が必要です。画用紙の質感にも左右されるため、ソルトテクスチャーは簡単に見えて、実は奥深い技法と言えるでしょう。

