ゲルハルト・リヒターとは、ドイツの芸術家のことです。1932年にドイツのドレスデンに生まれ、1951年から1956年まで地元の芸術アカデミーで絵画を学びました。1961年にデュッセルドルフに移住すると現地の芸術大学に入学し、1971年からは15年以上にわたり同校の教授の職を勤めました。
2012年には、ロンドンで行われた競売で彼の作品が約26億9000万円(当時)相当の価格で落札されました。2014年には第二次世界大戦中のアウシュビッツ強制収容所で撮影された写真をもとに制作した作品が、ベルリンのナショナル・ギャラリーに永久貸与されることになります。2022年には生誕90周年、画業60周年を迎え、東京国立近代美術館で東京初の個展が開催されました。
幼い頃からフォト・ペインティングを制作しており、新聞・雑誌に掲載されている写真をキャンバスに描き写し、全体をぼかして表現しているのが特徴です。ガラスを用いて周囲の景色が写り込むようにしたり、キャンバス全体を灰色で塗る「グレイ・ペインティング」を用いたりと、さまざまな技法を取り入れながら作品を制作しています。
代表的な作品は、190cm×180cmのガラス板を14枚使用した『ゲルハルト・リヒター 14枚のガラス/豊島』や、世界遺産に登録されているケルン大聖堂のステンドグラスなどです。ほかにも、40年以上にわたり制作されている『アブストラクト・ペインティング』シリーズや、写真に上に油彩やエナメルを重ねる「オイル・オン・フォト」の技法を用いたものなど、さまざまな作品を制作しています。

