フランシス・ベーコン

フランシス・ベーコンとは、アイルランドで生まれたイギリスの画家のことです。1906年に生まれ、1926年頃から水彩画や素描を描き始めました。その後ベルリンやパリに滞在し、1929年にはロンドンで家具設計や室内装飾の仕事をしつつ、油絵の制作を開始。1934年に、ロンドンで初めての個展を開催しました。

1950年代になると、イギリスにある美術系大学院大学のロイヤル・カレッジ・オブ・アートで指導を担当したり、イタリアで開催されているヴェネツィア・ビエンナーレのイギリス館で作品を展示したりして、高い評価を得るようになります。パブロ・ピカソと並んで「20世紀最も重要な一人」と評されましたが、1992年に旅行先のスペインで心臓発作を起こし、83年の生涯に幕を下ろしました。

フランシス・ベーコンは、人物画を多く制作しました。当時の流行は抽象絵画が中心になっていましたが、ベーコンは具象絵画をよく描いていたようです。人物画を制作するときは、写真を見て、対象のモデルを変形させたり、デフォルメさせたりしながら作品を制作しました。不安な気持ちをかき立てるような筆致と、澱んだ色使いも特徴です。

納得のいかない出来の作品は、フランシス・ベーコン自身で処分しており、残っている作品が少ないのが現状です。フランシス・ベーコンの代表作としては、自身のデビュー作と位置付けた『キリスト磔刑図を基盤とした3つの人物画の習作』や、エジプトのスフィンクスをモチーフにした『スフィンクスの習作』が挙げられます。