リヴァプール磁器とは、18世紀から19世紀にかけてイギリスのリヴァプールで盛んに生産されていた磁器のことです。主に陶磁器と陶磁人形を生産しており、イギリス国内の消費だけでなく、北米やカリブ海諸国への輸出も行っていました。デザインは東洋風で、絵付けの上から釉薬をかけて焼成した青白磁が多かったようです。
リヴァプール磁器はリヴァプールで生産されていた磁器の総称で、リチャード・チェイファーズやサミュエル・ギルボディなど、さまざまな工場が対象となっています。リチャード・チェイファーズは中国の意匠を取り入れた磁器、サミュエル・ギルボディはガラス質を含む釉薬を使った「エナメル磁器」を生産していたようです。多くの工場は18世紀から19世紀にかけて生産を終了しており、現存するものは貴重になっています。
リヴァプール磁器の特徴は、磁器の内面の縁が垂直になっていたり、底が平たくなったりしている製品がよく見られるところです。1760年代の作品には、中国趣味の「シノワズリ」を絵付けに施したボウルや、プロイセン王国のフリードリヒ2世を描いた水差しなどがあります。白磁の余白を活かしつつ、華やかな彩色を施しているのが魅力です。
リヴァプール磁器と混同されやすい陶磁器の産地として、アメリカのオハイオ州にある「イーストリヴァプール」という街があります。街の名前は似ていますが、イーストリヴァプールは1880年から1960年頃まで「世界の陶器の首都」と呼ばれるほど盛んに陶磁器を生産していました。

