ロッキンガムとは、イギリスに存在した陶磁器窯のことです。1745年頃からイングランド北部のヨークシャーで生産され、初めは職人を雇っていない個人窯として陶磁器を生産していました。当時は窯がある地名にちなんで、「スウィントン・ポタリー」という名称が使われていたようです。
1785年になると、補助事業として鉛釉磁器の生産も開始します。しかし競合との競争に敗れ、1800年代には売上が伸び悩むようになりました。そこで当時のスウィントン領主であったロッキンガム伯爵に窯への財政支援を要請します。一時的には財政状況が改善しましたが、借金や海外取引の失敗により、1825年には倒産の危機に直面します。
ロッキンガム伯爵は窯に対して海外取引と、高利貸しからの借金の禁止を条件に資金を融通し、回復を図りました。その後、磁器製造と陶器製造を並行して行うようになり、名称を「ロッキンガム・ワークス」に変更します。地元ヨークシャーだけでなくロンドンにも小売店を出し、貴族向けの製品で人気を博しました。しかし価格計算を誤っていたことで、1831年には赤字に転落。1842年に閉窯することになりました。
創業から80年ほどで閉窯したロッキンガムの製品は、ワインのような深い赤色や鮮やかな緑色などで彩色した、華やかなものが多いのが特徴です。貴族をターゲットにしていたこともあり、金彩を施し、ハンドルの形を工夫したものもあります。現在はアンティークの食器のコレクターをはじめ、知る人ぞ知るブランドになっています。

