表現主義

表現主義とは、感情を作品に反映させる表現の傾向のことです。狭義では、20世紀初頭にドイツで興った「ドイツ表現主義」と、その影響を受けた芸術家と作品のことを指します。表現主義の影響は、絵画だけでなく、音楽、演劇、文学、映像、建築など、さまざまな芸術分野に及びました。

表現主義が生まれたきっかけは、光と色の瞬間的な印象を描く「印象主義」への反動と考えられています。表現主義の作品は、個人が抱える不安や苦悩、社会への批判などを、作品として表現しました。描くものを歪ませたり、デフォルメ化したりするほか、彩色では原色を使用し、見る人に強い印象を残す作品が多く作られています。芸術界にも影響を与え、後に登場する抽象表現主義や、建築分野「バウハウス」などの源流にもなりました。

表現主義の代表的な作品としては、エドヴァルド・ムンクの『叫び』、エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーが描いた『街頭、ベルリン』、エゴン・シーレの『自画像』などが挙げられます。映像分野では『カリガリ博士』や『巨人ゴーレム』といった映画が作られるほか、音楽分野ではアルノルト・シェーンベルクやアルバン・ベルクなどが活躍しました。

表現主義とよく似た言葉に「抽象表現主義」がありますが、抽象表現主義は1940年代後半から50年代にかけてアメリカで流行した美術傾向です。アメリカ美術が、初めて世界的な影響力を持った芸術運動とも言われています。表現主義の影響を受けており、擬態的なモチーフを用いずに感情を表現しました。