アクション・ペインティング

アクション・ペインティングとは、作品を描くときの動きが強調された絵画作品のことです。通常、絵画を制作するときは下絵を描いてキャンパスや紙に丁寧に絵の具を乗せるのですが、アクション・ペインティングでは絵の具を垂らしたり飛び散らせたりして制作します。アクション・ペインティングとは、どんな対象物をどのような表現で描くかより、作品を制作するときの動き(アクション)に注目されるのが特徴です。

アクション・ペインティングの概念が登場したのは、1952年。アメリカの美術評論家であるハロルド・ローゼンバーグが、『アートニューズ』誌に発表した論文で初めて登場しました。キャンバスは作家が表現したい世界を表す場ではなく、創作行為をする場であるとする彼の意見は好意的に受け取られる一方、一部からは絵画の形式的な面を軽視していると見なされることも。しかし彼の意見を指示する声も強く、時が経つにつれ「行為としての芸術」「結果ではなく過程を評価する芸術」として親しまれるようになりました。

アクション・ペインティングのアーティストは、ジャクソン・ポロックやウィレム・デクーニング、白髪一雄などです。ジャクソン・ポロックは、床に敷いた絵布に絵の具を垂らすドリッピングという技法を生み出した人物で、『秘密の守護者』が代表作として挙げられます。ウィレム・デクーニングはオランダで生まれ、アメリカで創作活動をした人物。代表作は『発掘』や『女』などです。白髪一雄は日本のアクション・ペインティングの画家で、独自の創作スタイルは「フット・ペインティング」と呼ばれています。代表作の1つとして、『丹赤』が挙げられます。