桐生織

桐生織(きりゅうおり)とは、群馬県桐生市で生産されている織物のことです。上毛かるたの「き」にも、「桐生は日本の機(はた)どころ」という札があります。手触りが柔らかく、艶やかな光沢があるのが特徴。品質の高さと歴史の長さは「西の西陣、東の桐生」と言われるほどで、高級布としても人気を博しています。現在は高級着物だけでなく、気軽に入手できる服飾品やポーチのような小物類まで、様々な製品を製造しています。

桐生織の歴史は古く、今から約1300年前の奈良時代にまで遡ります。平安時代初期に編纂された『続日本記』において、和銅7年(714)に絁(あしぎぬ)を納めたとの記述があるのです。このことから、当時から桐生市周辺は織物産業が盛んだったことが伺えます。慶長5年(1600)には関ヶ原合戦に赴く徳川家康からの要請を受け、一晩で2410疋(ひき)も織って東軍の勝利に尽力したとのエピソードも。明治時代にはジャカード機を導入し、さらに生産量と品質が向上します。昭和52年(1977)には、経済産業大臣指定の伝統的工芸品になりました。

桐生織づくりは、糸の製造から始まります。白い生糸に染色を施し、木管に巻き付けたら、続いて図案を作成。「意匠紙」という専用の方眼用紙に1マスずつ色を塗るほか、近年ではデジタルデータを使うこともあります。その後「紋紙」に小さな穴をいくつも開け、ジャカード機の動きを制御する指示書を制作。ジャカード機に糸や紋紙などをセットして織り進め、仕上げをしたら桐生織の完成です。