イエナガラスとは、ドイツで開発された耐衝撃性と耐熱性に優れているガラスのことです。1884年にドイツのイエナという街で、化学者のフリードリヒ・オットー・ショットによって発明されました。発明された当初はアルミニウムやマグネシウムなどを添加しており、20世紀以降普及したホウケイ酸ガラスの前身とされています。
1920年代になると「イエナグラス」というブランド名で販売を開始し、産業用と家庭用の両方の製品を展開していました。1930年代には「バウハウス」というドイツの美術学校の教授であるモホイ=ナジ・ラースローが広告キャンペーンを開始したことも追い風となり、イエナグラスの知名度は大きく向上しました。
第二次世界大戦が終結するとドイツは東西に分断され、イエナグラスの産地であるイエナは東ドイツのエリアに含まれます。イエナガラスは輸出品として人気があったため、外貨の獲得源として重宝されました。東西ドイツが統一された後、2005年にはイエナでのイエナガラスの生産が中止となり、以降は別の場所に建設された新しい生産ラインで生産されるようになります。
現在、ブランド設立当初のメーカーは生産を終えていますが、Trenglas-Jena(トレンドグラス・イエナ)社が生産を引き継ぎ、当初の品質を保った製品を生産しています。イエナグラスの特徴は、シンプルなデザインと機能性に優れているところ。流行に左右されないスタイリッシュなものも多く、現在も贈答品などで人気を集めています。