エミール・ガレ

エミール・ガレは、フランスのガラス工芸家です。ときには、彼や彼の関係者が制作したガラス工芸作品を指すこともあります。エミール・ガレは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に巻き起こった芸術運動「アールヌーヴォー」の代表的な人物の1人として活動していました。ジャポニズムをはじめ、ロココやシノワズリなど様々な技法を取り入れ、動植物をテーマにした作品を残しているのが、エミール・ガレの特徴です。

エミール・ガレの作品は大きく2種類に分けることができます。1つ目は、エミール・ガレ本人が制作した「オリジナル作品」です。なかには1点ものの作品もあり、アンティークの査定では高い評価を得ることも期待できます。2つ目は、エミール・ガレ自身はアートディレクターになり、工房のスタッフたちが分業で制作した「工房作品」。エミール・ガレが亡くなり、アールヌーヴォーの時代が終わっても、1931年に工房が解散するまで作風が変わることはありませんでした。

エミール・ガレのガラス作品には、マルケトリやパチネといった、独特の技法が使われているものもあります。マルケトリはガラスパーツをガラス作品本体に嵌め込む技法、パチネはガラスの表面を濁らせて古色をつけたように見せる方法です。また、大量生産のため型を使って製品を作る「ファインス焼き」も特徴的です。ファインス焼きはエミール・ガレの家業を継承して作られたもので、芸術作品から日用品まで幅広く対応していました。しかし、エミール・ガレが亡くなった後は、工房では作られなくなりました。